ファンネルマークにも苦労した。大阪商船は白の大の字、三井船舶は白の三本線である。それぞれの歴史をもち、このマークで世界の海に雄飛し、双方の社員には思い出深いものである。しかし、いずれかのマークを残すわけにはいかない。いろいろな図案が合併準備委員会に持ち込まれたが、なかなか決まらない。大阪商船の準備委員会の交渉委員長は専務の加福龍郎である。加福はノーマークを主張した。
「大阪商船三井船舶はトップ企業である。トップにはマークは必要ではない。二位以下がマークをつければよい。イギリスの郵便切手をごらんなさい。国名は印刷されていません。ドイツ、フランス、アメリカの切手はみな国名が記入されている。ナンバー・ワンにはマークは要らないのです」
ノーマークに決まったが、今度はその色をどうするかである。大阪商船専務の坪川五郎と三井船舶常務の鈴木久之助が相談したが、なかなか決まらない。
ふと机の上を見ると、たばこの「光」が目にはいった。このたばこは現在は製造していないが、一〇本入りの箱はだいだい色である。これにしようということになった。新会社のオレンジ・ファンネルはこうして決まった。
/『風濤の日日』
「大阪商船三井船舶はトップ企業である。トップにはマークは必要ではない。二位以下がマークをつければよい。イギリスの郵便切手をごらんなさい。国名は印刷されていません。ドイツ、フランス、アメリカの切手はみな国名が記入されている。ナンバー・ワンにはマークは要らないのです」
ノーマークに決まったが、今度はその色をどうするかである。大阪商船専務の坪川五郎と三井船舶常務の鈴木久之助が相談したが、なかなか決まらない。
ふと机の上を見ると、たばこの「光」が目にはいった。このたばこは現在は製造していないが、一〇本入りの箱はだいだい色である。これにしようということになった。新会社のオレンジ・ファンネルはこうして決まった。
/『風濤の日日』
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◆創作話【 「渺渺録」 】