破船

津崎のお知らせ・作品・日常・雄叫び
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 一個人の趣味の同人創作サイトです。
 一次創作と擬人化(艦船擬人化/企業・組織擬人化)を描いています。各公式、実在の組織・団体とは一切関係がなく、一個人が趣味で描いたものを掲載しています。
サイト「night watch」(本拠地) | 絵🎨 | 👏👏👏

こないだある在日朝鮮人に会いましたら、この人は、「森崎さん、私は誰にも言えないけど、胸がいたいほど好きな言葉があるんです。在日朝鮮人の間で言いにくいのですけど、それはたもと、という言葉です」といいました。
 袂。あのね、朝鮮服の袖はこんなふうにほっそりしてます。彼は、タモトのあるソデによって、なにかを育てている。もちろん日本のきもの。タモトのある袖が、彼にとって一番ふかい言葉だというのです。それも男のきものの袖のことでした。彼の養父の……。「あのたもと、という言葉がほんとに好きで、あれがぼくの朝鮮に対する気持であり、日本に対する気持です」と言ったんです。わたしは日本生まれの彼のそういう気持ちもとっても良く分ってしまいます。
 感性の中に、日常生活の様々な他人、あるいは風物が、自分とかかわりつつ這入り込んで来て、自分にとって大切な言葉になる、その根っこのあたりが、とっても大事だと思うんです。袂なんて言葉が好きなのは、それは日本の帝国主義にやられちゃっているからという理論もあると思います。そういう政治的な発想というのも分ります。分りますけれども、でも、ひとりの人にとって袂という言葉は、それを大切にしてこそ、帝国主義とたたかえる。

/「わたしと言葉」『現代思想 2022年11月臨時増刊号 総特集・森崎和江 1927-2022』