No.5
調べものノート
いろいろ覚え書き
日本の郵便局の窓口にモンゴル宛の郵便を差し出して、すぐに料金のわかることは稀である。郵政省が印刷して、各郵便局に貼り出している色刷の地帯別区分図には、モンゴルの国名表示がないだけでなく、「中国本土」という文字で示されている部分に、国境線一つ引かれず、モンゴルが含まれている。そこが「中国本土」とは別の部分であるとわかるのは、私のようにこのあたりの地図をしばしば見ている者には、ソ連との、特徴ある国境線の曲がりぐあいによってである。書き添えておけば、この料金地図は、昭和四六年印刷の新しいものでも変わっていない。この地図は日本人の外国認識の一つのあらわれであるが、モンゴルのような国を、中国、あるいはソ連のいずれかに付帯させて考えるという一種の民族無視、大国主義的態度を示している。忘れてならないことは、国境線なしに、中国とひとまとめに示されているこの国と、日本は、「ノモンハン事件」という、事件ならぬ一大決戦を敢行して、この国の運命を左右したことがあるという事実である。
私のモンゴル旅行に関心が抱かれるとしても、主眼は常に中国、あるいはソ連に向けられているから、モンゴルはせいぜいそのための媒介であり、中・ソのできごとを説明するための補助資料と見なされている。
/『はるけきモンゴル モンゴルと中央アジア篇 田中克彦セレクシヨンIV』
私のモンゴル旅行に関心が抱かれるとしても、主眼は常に中国、あるいはソ連に向けられているから、モンゴルはせいぜいそのための媒介であり、中・ソのできごとを説明するための補助資料と見なされている。
/『はるけきモンゴル モンゴルと中央アジア篇 田中克彦セレクシヨンIV』